8/28(金) 日本技術士会 情報工学部会にて、平鍋の講演

チェンジビジョン代表の平鍋は毎月どこかで講演の機会をいただいていますが、8月末には公益社団法人日本技術士会の情報工学部会に伺います。東京での開催ですが、各地域本部ではWeb中継も実施されるそうです。

日本技術士会 2015年8月度情報工学部会のご案内

概要

  • 日程:2015年8月28日(金) 18:30~21:00 (講演は 18:45~19:55)
  • テーマ: 「アジャイル開発とスクラム ~顧客・技術・経営をつなぐ協調的マネジメント~」
  • 講師: 平鍋健児(チェンジビジョン代表)

申込み方法

日本技術士会のウェブサイト「技術士CPD」のページで、右側にある「会員向けCPD行事予定」、「一般向けCPD行事予定」のリンクを辿り、該当日の申込ボタンをご利用ください。

私はこの催しの詳細を見るまで「技術士」という称号を知りませんでした。「技術士法」という法律に基づいた国家試験があるそうで、情報工学部会のウェブサイトによると専門分野は21に分かれているそうです。

技術士とは (情報工学部会のウェブサイト)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

5/22(金) 派生開発カンファレンスのご案内

来月下旬に横浜市開港記念会館にて開催される派生開発カンファレンスで、チェンジビジョン代表の平鍋が基調講演に登壇します。

16:35~17:25
アジャイル開発とスクラム ~顧客・技術・経営をつなぐ協調的マネジメント~

カンファレンス公式サイトより、講演概要を引用します。

概要
アジャイル開発は海外から来た手法だと考えていませんか?実は、アジャイルの根底には、戦後にトヨタで開発された生産の流れ化、改善手法であるTPS、および、80年代製造業で行われていた暗黙知を利用した新製品開発手法があります。 派生開発が日本発の開発手法であるのと同様、アジャイルにも日本のものづくりの原点を見ることができるのです。現在アジャイル開発において注目されている「スクラム」は、野中郁次郎らが1986年に書いた「The New New Product Development Game」に由来しており、 そこには、製品への要求を顧客との共体験を通して学び取り、それを仕様書ではなく体で開発に運ぶ、思いの伝達者としての実践知リーダーシップのありかたが生き生きと書かれています。
   今回は、アジャイル開発の概要をおさらいした後、スクラムの本来の意味である、協調的マネジメント手法、デザイン思考との関連、知識創造モデル、を中心に、日本発のスクラムの本質をお話します。 そして、エンジニアの仕事の意味について考え、日本の現場でソフトウェア開発に携わる人たちを応援したいと思います。

派生開発カンファレンスは参加費有料のイベントですが、各企業から実践例が発表されるため、貴重なお話もたくさん聞けるのではないかと思います。JISA、JASA、JUASなど、協賛団体が多くありますので、協賛団体向けの費用が適用される方も多いのではないでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

3/30(月) IPA/SECセミナーレポート2、セキュリティ設計分析手法

引き続き、3/30(月)に開催されたIPA/SECセミナーのレポートです。1月に実施されたクリティカルソフトウェアワークショップ(WOCS)で、最優秀賞を受賞した発表の一つ、お薬手帳の設計分析に関する講演でした。

IoT時代のセーフティとセキュリティ
~つながる世界の安全・安心の確保に向けた課題と最新技術をご紹介!~

【12thWOCS2最優秀賞受賞テーマ】 セキュリティ設計分析手法(電子お薬手帳システムに適用)
ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社  松並 勝 氏

WOCSのプログラムページで公開されている論文PDF
ソニーの電子お薬手帳システムに適用したセキュリティ設計分析手法

セキュリティ設計分析手法は、システムの設計段階で文書をレビューすることでセキュリティ対策を施そうというものですが、セキュリティに対する高度な知識が必要なため、なかなか普及していないのが現状だそうです。暗号やOSに関する技術的な知識に加えて、各々の技術を用いることでシステム全体としてセキュリティを保持できているかを見える形にする力が必要とお話されていました。
開発工程の中で、実装時にソースコードの静的解析をしたり、実装後のテストにおいて脆弱性を診断したりといった取り組みは広がってきています。ただ、製品がほぼ出来上がりつつあるテスト段階で問題を発見した場合、製品そのもののリリーススケジュールに及ぼす影響が大きくなりがちというのが現場の課題で、より早い段階で問題を見つけたいという背景から、セキュリティ設計分析を実施したとのことでした。

今回の発表では、ソニーの電子お薬手帳システム「harmo(ハルモ)」の設計において、2名が専属で二ケ月(16時間/日)かけてセキュリティ設計分析をした結果、浮き上がってきた二つのパターンが提案されました。セキュリティ要件の導き方と、導いた要件をどう分解していくかの手順です。

私はセキュリティに関して不勉強なので知りませんでしたが、脅威ツリーを書くことで事象と条件、考えた過程を可視化できる脅威モデリングという手法がありました。講演の中でも触れられたマイクロソフトの詳しい解説ページが参考になります。
脅威モデルを作成する

経験や知識を前提とした難しい作業と考えられている業務から、繰り返し登場するものを見つけ出しパターン化することで、技術の普及を図ると共に確実なセキュリティ対策を進めやすくしようとする試みだなと感じました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

3/30(月) IPA/SECセミナーレポート1

月曜日、IPA/SEC(ソフトウェア高信頼化センター)セミナーを聴講してきました。後半は1月に開催されたクリティカル・ソフトウェア・ワークショップ(WOCS)で最優秀賞を受賞した講演を、より詳しく聴ける貴重なセミナーでした。何回かに分けてレポートを書きます。

IoT時代のセーフティとセキュリティ
~つながる世界の安全・安心の確保に向けた課題と最新技術をご紹介!~

IoT時代のセーフティ・セキュリティ確保に向けた課題と取組み
後藤 厚宏 氏

PCのセキュリティを考えてみると、PCを使わなければ危険に直面する可能性も低かった。しかし、IoTではPCやスマートホンといったつながっていることが前提の機器だけでなく、自動車や医療機器、家電、住宅など、日常で利用する様々なモノが意識しない間につながっている状態で供給されるようになる。つまり、全ての人が無関係では居られない時代になりつつある。モノがネットワークにつながると、新たな価値が生まれると同時に、別のリスクも生じる場合がある。利用している機器そのものに脆弱性があり、外部から容易に侵入できたり、接続状況が見えてしまったりといったリスクは既に報道されてもいる。

これまで何らかの知識を持った人たちが考えていたモノのセキュリティが、接続されていることが当たり前の世の中になることで、一般家庭に普及する機器を通して知識を持たない管理者が爆発的に増え、無関心がゆえに被害があることにさえ気づかない状況が生まれる。

生活の中にある機器を設計する段階から、セキュリティへの配慮が必須であり、セーフティやセキュリティを品質の一つとして捉え、外部に見える形で論理的に説明できるようにすることが必要。利用者がどの機器に何を接続するか、その全てを把握することは困難なため、機器をつなぐ際はそもそもつないでいいか悪いかをチェックできる仕組みが整備されるべき。

IPA/SECの「サプライチェーンにおける品質の見える化WG」で見えてきた課題として、業界や人によってセーフティy、セキュリティといった用語の意味、使い方が異なっていて、概念のすり合わせが難しいこともお話されていました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

3/17(火) MarkeZine Day 2015 Springに参加してきました

二週間も経ってしまいましたが、3/17(火)に御茶ノ水のソラシティカンファレンスセンターで開催されたMarkeZine Day 2015 Springに参加してきました。いくつか聞いてみたいセッションがあったので、午前中を中心に聴講しました。

【A-1】 パネルディスカッション
マーケティングオートメーションの現状動向と今後の見通し
アドビシステムズ、マルケト、セールスフォース・ドットコム

マーケティングのプロセスは、この人がやっているから上手くまわっているというように、属人化している部分も多きいように感じます。そのプロセスを自動化することによって、企業側(提供する側)ではなく、お客様(サービスや製品を受け取る側)の都合や気持ちに沿った内容、タイミングでマーケティングを実施していこうというのが、マーケティングオートメーションの根本ではないかと思います。

今回のパネルディスカッションでは、マーケティングオートメーションに早くから取り組み世界で実績を上げている三社が、市場の状況、人材や組織、活用への課題、成功と失敗のパターンなどを語りました。

マーケティングオートメーションに取り組もうという会社には、次の三つのパターンが見られるそうです。

  • 代理店や量販店に任せていたマーケティングを、自分たちが実施し、顧客と直接つながろうとする動き
  • デジタルチャネルの広がり
  • 深堀りや省力化よりも、個人の動向に合った内容へ

企業側から一方的に配信されていたメール(プッシュ型)の内容を最適化するだけでなく、個人が所有するデバイスの数も種類も増えた現状(デジタルタッチポイントの急増)に合わせ、どんな場面(コンテキスト)でどういう行動をしているかを把握し、最適な情報を提供することを目指しているとのことでした。

私が面白いなと思ったのは、Center of Excellenceの話です。マーケティングプロセス全体を司る専門集団を社内(あるいは社外と連携)に抱え、ベンダーをどう使うかや他部門との調整、社内のトレーニング、経営層とのコミュニケーションなどを一括集中で動かしていくことで、マーケティング活動をよりスムーズに効果の高いものに出来るということでした。

センター・オブ・エクセレンスについては、パネリストの一人、アドビシステムズの安西敬介さんが詳しく書かれていましたのでリンクを貼っておきます。
データに強い組織を作るカギ「L3PS」。それを実現するためには?
Center of Excellence

マーケティングオートメーションの実施には経営層との連携が必須で、活動を通して将来の事業にどういうインパクトをもたらしたいのか、どのような情報を得て活用していきたいのか、しっかり共有し、理解し合うことが大切だという話は頷けます。マーケティングという見えにくい、効果を疑問視されがちな部門や活動が、組織内を横断する形で実行、判断できる立場へ、お客様との接点の中心へと自らを高めていく時期にきているのかなと感じました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

3/12(木) 講演レポート「スマートフォンによる参加型環境センシング」

先週の組込みセキュリティ&セーフティフォーラムのレポート、二つ目です。

「スマートフォンによる参加型環境センシング ~放射線モニタリングの事例紹介~」
ヤグチ電子工業株式会社 取締役CTO 石垣陽氏

ヤグチ電子さん、私は全く知らなかったのですが、新製品開発の方法としても、社会に役立つ技術を提供する姿勢としても、また世界に波及する利用者の和としても、非常に面白い講演でした。30分という短い時間で、もっと詳しく聞けたらと残念で仕方なかったです。

この講演では、東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所の事故を受けて、放射線を計測できる線量計(ガイガーカウンター)の需要が急激に高まる一方、供給は全く追いつかない状況で、一般向けに新製品を出したヤグチ電子さんがどのように開発を進め、販売し、利用者からデータを集め、改善に活かしというループを実現したかが語られました。放射線やセンサーに関する知識があるとないとでは、この講演の理解度が大きく変わると思うので、別の機会にぜひまた詳しいお話を聞いてみたいです。

東日本大震災が起こるまで線量計はほぼ専門の研究者が使うもので、一般消費者が欲しがるモノではありませんでした。原子力発電所の事故により生活への影響が懸念され、ごく普通の人々が必要性を感じ、入手を試みたそうです。しかし、もちろん製造は追いつかず、また海外から輸入された粗悪な品(まともに計測できない)の流通により、線量計に対する悪いイメージまで氾濫したそうです。

スピーカーの石垣さんは、環境災害は起こる前提で物事を考えていかねばならない。福島の事故から分かってきたことは、測定し(正しいデータを集め)、それを専門家らと共有し、知識を得た上で地域住民と専門家らが議論し理解を深める場を持つことだとおっしゃっていました。

ヤグチ電子さんは、ポケットガイガーというとても小さい線量計を発売されました。始まりはフリスク(粒状ミント)の箱と10円玉を使っていて、これはすぐに供給でき加工の手間を省ける点で採用されたそうです。箱の内部に入れる計測装置の部分を提供することで、一般の方が自分の身近にあるもので何とか出来る状態を作りだしたことになります。(現在はフリスクではなく筐体ごと販売されています。)

スマートフォンとつなげて測定し、結果をウェブ(Facebookグループもあるそうです)にアップしたり、またオンラインアップデートすると機能が増えることもあるという、線量計のようなハードウェアとしてはまさに画期的な製品とのことです。

この製品は、最初にフリスクを使った段階でクラシエから快諾されたり、キックスターターというクラウドファンディングのウェブサイトを通じて資金を集め、それを見たオランダから国の試験機関で性能検査をしましょうというオファーが入ったり、製品の周辺にも興味深い出来事がたくさん起こっています。

現在も利用者(ユーザー)がFacebookグループを通じてデータを共有し、専門家らとやり取りし、参加型開発が継続しているそうで、これからの発展が見えるような気がしました。

ぜひ皆さんも一度ポケットガイガーのウェブサイトをご覧になってみてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

3/12(木) 講演レポート「IoT時代のセーフティ&セキュリティ」

昨日、御茶ノ水ソラシティで開催された「組込みセキュリティ&セーフティフォーラム」を聴講してきました。13時頃までしか居られなかったのですが、聞きに行って良かったなと思う内容だったのでレポートを書いてみます。

基調講演
「IoT時代のセーフティ&セキュリティ」
パナソニック株式会社 全社CTO室 ソフトウェア戦略担当 理事  梶本一夫氏

パナソニックにおけるセーフティやセキュリティへの取り組みを時代を追って紹介していくと共に、これら技術の動向を説明されました。家電を提供する上でセーフティやセキュリティに長く取り組んでいて、1929年!の電気コタツ第一号がその始まりとだそうです。サーモスタットと温度ヒューズを組み込むことで二重安全を実現したというお話でした。確かにコタツには熱くなりすぎないような仕組みがありますよね。

現在のパナソニックには社内にホワイトハッカーがいらっしゃって、ネットにつながる家電は全てハッキングによる脅威分析を経てから出荷されるそうです。脆弱性が発見された時に対応する部門も2010年に立ち上げたとか。

有明のショールームでは、2020年の暮らしを展示していて、洗面所の鏡に生体情報を計る機能があったり、家の中にエージェントが居て会話しながら家事をしたり、レジャーの計画をしたりといった様子を体験できるそうです。エージェントとの対話については、音響の技術を活かして音声認識しているという解説でした。

IoT時代には協調が非常に重要で、ライフスタイルによって大きく使われ方が変わる家電はその寿命(1年ごとに買い替えるのか、10年~15年もつのかなど)によって専用のインターフェースが出来てしまいがち。しかし、IoTの実現においては、つながるがゆえに一社だけではセーフティ&セキュリティを保証できないとのお話もありました。様々な団体が世界中に乱立し、デファクトを狙って動いているとのことでした。自動車の次期OS(オープンソース)についても、AGL、TIZEN、AndroidAutoなどがあるそうです。

セーフティ、セキュリティ技術の最新動向として、技術を分類し、たくさんの例を挙げてお話されていました。面白かったのは、人間行動解析技術で、三つの例はいずれもイスラエルの会社だそうです。

  • タッチパネルの操作など(指の動き)、人の癖から個人を認証することで、人のふりをするマルウェアを検知する技術
  • 人事DBと重要情報DBを元に、社員のアクセスパターンと組み合わせて不正行為のリスクが高い人を発見する
  • SNSのテキストや写真を分析し、テロなど不法行為の時間や場所、ターゲットを予測する「テロジェンス」という名称の技術
他にも、システムはダウンすることを前提として対応するレジリエンスや耐タンパ化(同じ実行結果を導くが、解読できないような難しいプログラムにするなど)、静的解析などの説明もありました。
有明のショールーム、行ってみたくなりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

3/12(木) 組込みセキュリティ&セーフティフォーラム

1月から、IoTやシステムズエンジニアリング、ビッグデータといったキーワードがテーマのセミナーにいくつか参加してきました。

クリティカルソフトウェアワークショップ(12th WOCS)

SEC特別セミナー
IoT時代のソフトウェアエンジニアリングとビジネスイノベーション

ITpro EXPO 開催発表会

その中でもIoTは特に注目度が高く、ソフトウェア分野に限らず、実際のモノを作る工場や一般消費者まで関心を持つ範囲が急速に広がっていることを実感しました。

3月12日、来週木曜にはIoTがさらに広がりを見せる中でますます重要性の高まるセキュリティとセーフティをテーマとしたフォーラムが開催されます。参加無料(事前登録制)で定員400名の大きなセミナーですので、関心をお持ちの方はぜひお早目にご登録ください。

組込みセキュリティ&セーフティフォーラム
IoT時代に求められる組込みシステムのセキュリティと安全

チェンジビジョンからは代表の平鍋が「Safety/Security分野へのモデルベース開発とアジャイル開発アプローチの適用」と題して、初公開の内容で講演いたします。

千代田線の新御茶ノ水駅に直結の御茶ノ水ソラシティでの開催です。ソラシティ、何度か行きましたが、千代田線の他、JR御茶ノ水駅からも近く、新宿線の小川町駅からも少し歩けば行けるので便利ですね。地上から行くと、ニコライ堂が見えるのも良いです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2/20、ロンバック博士の講演レポート「将来のイノベーションを実現するためのスマート・エコシステム」

IPA/SEC特別セミナーのレポートの続きです。午後最初はロンバック博士の講演でした。

2/20(金) 13:05~14:30 "Smart Ecosystems: An Enabler for Future Innovations"
将来のイノベーションを実現するためのスマート・エコシステム

スライドに書かれていたアジェンダ
AGENDA

  • Applied Research: The Fraunhofer-Gesellschaft
  • On the way to the Digital Society 2.0
  • Challenges for Software and Systems

新しい経済のトレンド、複雑なシステム、新しいビジネスモデルが生まれた。
今日は、スマートエコシステムと、IoT、IoS、ビッグデータがどうつながるのか、新たなシステムにとって何が課題となるのかについて話したい。

AGENDA 1
- Applied Research: The Fraunhofer-Gesellschaft
フラウンホーファー研究所について、その成り立ちや研究内容
フラウンホーファーは太陽光スペクトラム中の"フラウンホーファー線"を発見した科学者。顕微鏡(テレスコープ)の発明者などとして知られる。

フラウンホーファー研究所は、ヨーロッパ最大の応用研究組織で、ドイツ内に約70の機関を持ち、23,000人の従業員が居る(大半は研究者)。第二次世界大戦後の復興を産業界から手助けすることを目的として、1949年に設立された。全業界の技術を研究し、産業界に技術移転することが使命。
20億ユーロの総予算の2/3が、ヨーロッパ各国のプロジェクトや業界から請け負う研究など。世界中に支所、センター、広報機関などを有する。アジアにはまだ大きなセンターがない。

研究分野は多岐に渡る。 Health and Environment / Communication and Information / Energy and Resources / Safety and Secutiry / Production and Services / Mobility and Transportation

IESE(イエゼ)について: Fraunhofer Institute for Experimental Software Engineering
実験的ソフトウェア工学研究所
1996年に設立。ロンバック博士は設立時からずっと所長を務める。フラウンホーファー研究所の中で、フラッグシップの位置づけ。200人強の従業員が、企業とソフトウェアを活用した製品やサービスで協業している。特に自動車、航空、医療、エネルギーの分野。モノ(物理)とデジタルの統合を研究しており、IoTやスマートエコシステムもそのうち。また、セーフティ、セキュリティ、モダナイズされたエンジニアリング、ビッグデータ解析等も実施している。

IESEは、産業界のためにソフトウェアによるイノベーションを起こしている。ソフトウェアにとって、クオリティは非常に重要。
Our Formula for Your Success
ENGINEERING + QUALITY => INNOVATION

IESEのコンピテンシー
- Scalable system engineering: 非常に巨大なシステムになっている。スケーラブルであることが重要。
- Guaranteed Quality: 実験的なソフトウェアエンジニアリング。テストし、検証してからリリースする。IESEで試験するだけでリスクを抑えられる。
上記二つから、Software-Enabled Innovations が導き出される。

スケーラブルにおけるコーナーストーンはアーキテクチャで、モデルベースの開発をしている。Qualityでは Safety、Sacutiryに加えて、UX(顧客体験)を大切にする。ES(Embeddedd System)/CPS(Cyber Physical System)と、IS(Information System)/Mobileが融合し、Smart Ecosystems。

エビデンスについて
ソフトウェアの分野で新しいかもしれないが、エンジニアリングではごく普通のこと。ソフトウェアを分析し、定量調査することで、エビデンスを作っている。

AGENDA 2
- On the way to the Digital Society 2.0

ドイツでは富士通、日立とも協力している。
まず、今私たちが居るデジタルソサエティ1.0のトレンドについて。様々なエレクトロニクスデバイスを使っているが、統合されていない状況。ワークフロー全体をサポートするように出来ていない。

(例) 博士の日々のスケジュールはスマートフォンに登録されている。ある日、ドイツのどこかに行かねばならないとして、いざ車に乗るとカーナビにはスマートフォンのスケジュールは自動で登録されておらず、わざわざ自分で行き先を入力して検索、設定しなければならない。
Integration as Driver for Business Life: Integration Evables Innovation!

例えば、自動車にセンサーが搭載され、走行中、右や左に行きすぎなど教えてくれる。あるいは出発から目的地まで全て自動で走行できる。サプライヤーからメーカーまでつながっている。プレシジョンファーミング。ビジネスの世界においても、ステップバイステップで本物の統合へもっていかねばならない。こうした統合が国境を越えて出来るように。

インターネットには三つのタイプがある。
- Internet of People
- Internet of Things
- Internet of Services(人もつながる。エレメントもデータも増えていく)
こうした世界がどの程度広がっているのか。効率を上げただけで留まっていてはいけない。将来の新しいビジネスモデルがなければ成り立たない。

IT Mega-Trend: Integration

今はDigital Society 1.0の時台で、Integrated Systems実験中。Digital Society 2.0、Smart Ecosystemsへの移行は革命的。米国のエコノミストであるリフキンの著作によれば、今やっているのは表面的なことにすぎず、日本のように高賃金の国はついていけなくなる、という見方が示されている。

A Trend across Domains
あらゆるものがスマートになる可能性がある。Farming, Health, Mobility, Energy, Industry 4.0, さらには Smart X。今は独占技術で成立しているものが、複雑な分散化によってあらゆるシステムからログインできる(つながる)ように。

Example: Smart Cars
現在は Closed Eco System、将来は Open Eco System。例えば自動車保険では率の最も良いところが生き残る。車から、ユーザーから情報を取ってこられる。いつ、どこで、どんな運転をするかで、利用できる保険も変わる。

Example: Smart Farming(ジョン・ディア社でやっている)
予防的故障回避。1年のうちに3ケ月だけ使う農機具があり、3ケ月の間に3日、故障で使えなければ非常に効率が悪い。こうしたことを事前に回避する。他に、農機具の動線をコントロールすることで燃料を効率良く使う。いつ肥料をやったかなどのデータをリアルタイムに蓄積していく。

The Forth Industrial Revolution
2011年に発表されたIndustry 4.0.
現代における四つの課題への対策を講じるために、ドイツが国を挙げて取り組んでいる。
Global competition / Resources shortages / Demographic changes / Urbanization

Industry 4.0では、全てのタイプの情報がつながる。お客様もサプライヤも。ソフトウェアがイノベーションと生産性向上の鍵となる。歴史上の産業革命には四つの段階があり、1.0は蒸気機関による機械化。2.0は電気による大量生産への移行。3.0はITによる自動化レベル。4.0はスマートエコシステム。Industry 4.0はリアルタイムで意思決定でき、リソースを最低限で済ませる。人も、機械も、モノも、ITシステムもネットワークでつながる。

デジタル化・自動化の飛躍的な伸びについて(Price Waterhouse Coopersの調査)
- Vertical Integrationは、コントロールのレベルを通貫する。
垂直統合で 2014年の20%から 2019年には80%にまで達する。
(財務・法~サービス~生産・物流~企画~R&D~販売)
Horizontal Integrationは、業種を超える。
水平統合で 2014年の24%から 2019年には86%まで。
(サプライヤ、エンタープライズ、カスタマー)

2025年の産業界のビジョン
一つのサプライヤとOEMではなく、よりダイナミックな関係が出来るだろう。バーチャルな組織を作り、オリンピックイヤーにビジネスをするなど。中小零細の部品企業でもスマートエコシステムの一部になれる。カスタマイゼーションでコストを下げ、インテリジェントアシスタンスで様々な仕事が簡単になる。さらに、無駄の少ない運用が出来る。

企業が Industry 4.0で期待できること

  • より良いプランニングやコントロール(生産や物流)
  • 高い顧客満足
  • 製品そのものの柔軟性が高まる
  • 市場へ供給するまでにかかる時間の凝縮
ドイツのスタンダードな産業(化学、自動車、機械、電気設備、農業など)で、2013年~2025年に+15~30%の成長率が予測されている。年 1~2%の成長は、デジタル化そのものによってだけもたらされる。

Industry 4.0における課題(Key Challenges)
集めたデータをコンテナに入れるだけでは何もならない。どのような状況で何に使うかが大事。10年前と同じことをやっていては、新しい会社の形に対応できない。
Standardisation(標準化)/Process/work organization/Product availability/New business models: 今までよりいいやり方ではなく、全く新しいビジネスモデルになる。/Security know-how protection: 他からのデータは欲しい、自分のデータは見せたくない。/Lack of specialist staff: 日独で人材の不足は同じ問題。など。

AGENDA 3
- Challenges for Software and Systems Engineering

2014年から2019年の5年間で、デジタル化の度合いは、50%も高まる。

Key Challenges for Software and Systems Engineering
スマートエコシステムの中での主要なリーダーはソフトウェアであり、ここでリーダーになりたければ、ソフトウェアがイネーブラーであることを認識すべき。将来の製品はさらにソフトウェアの割合が高まり、ソフト、ハードを問わず規定されていない関係が出てくる。

  • Complexity: 複雑性
    スマートエコシステムはこれまでにない複雑さを持つ。
  • Diversity: 多様性
    企業や業界を超えた多様なシステムやステークホルダーを統合どこかで停電してもサービスが動き続けねばならない。
  • Uncertainity: 不確実性
    不確実な環境、新しいコンセプトの中で、システムのre-configurationが出来ねばならない。ランタイム中にre-configurationが行われる。
  • Safety & Security: 安全性とセキュリティ
    まだ大きな課題を抱えている。定量化が簡単なものとそうでないものが混在している。
    Isolation of critical systems parts (例: "software cages")
    何か間違った挙動があった時に、他に影響しないように孤立させておく。まだ生産の現場では使われていない。もとはロボティクスからうまれた考えで、ロボットが人間を殺さないように、常にケージに収めておくこと。
  • Smart Usage of Big Data
    今はビッグデータで問題を解決できると期待している状態。ガートナーカーブでは昇り切る手間。いずれ失望の時がくる。コンテキストに基づいてデータがどう使われるべきか、使われないべきかを考える必要がある。

終わりに。
誰がスマートエコシステムの開発スピードを決めるのか。米国にはこれを根本から理解し、既にチャレンジを始めているGoogleのような企業がいくつもある。(Googleの自動運転の自動車はおもちゃではない、スマートエコシステムの 具現化への一歩というようなことを言っていました)
しかし、我々(ドイツや日本)はリーダーであらねば将来はない。ドイツには古くからエンジニアリング企業があるが、これでは成功できないことが分かってきた。そこでコンソーシアムを作り、Industy 4.0を進めている。Industry 4.0に向かわなければ雇用を創出できない。

ソフトウェアの役割がどんどん上がり、将来トップレベルになるだろう。我々は様々な技術を開発できるが、人的資源がなければ使えない。チャンスはたくさんあるが、能力がなければ大きなチャンスはものに出来ない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

SEC特別セミナー「IoT時代のソフトウェアエンジニアリングとビジネスイノベーション」 対談レポート後編

対談のレポート後編です。

【SEC特別セミナー】 IoT時代のソフトウェアエンジニアリングとビジネスイノベーション

10:30~12:00  SEC journal 公開対談>
IESE所長 ディーター・ロンバック博士 / IPA理事 立石譲二氏

Q. つながるITの時代。次は何につながるのか見えていない。デザイン、上流工程がますます難しくなっている。訓練を受けたオペレーターからマニュアルさえ見ない一般消費者へと使う人が移っている。システムズエンジニアリングがさらに重要になっているということ。課題は、様々なサブシステムのデザイナーが big pictureを共有しなければならないということ。キーワードは、interoperability、standarnization、model based designなどが挙げられるかと思うが、研究所ではどのようなアプローチをしているか。

A.
フラウンホーファー研究所での research challengesについて説明する。
アプリケーションの使い方が変われば、研究する側のトピックも変わる。複雑なシステムの設計、例えば私はNASAのサテライトシステムに携わったことがあるが、システムを構築することだけはできる。
インテグレーションについて、IESEで注目している6つのこと。
1. 複雑性、complexity
システムの複雑性は、ものすごい勢い、爆発的に増している。ここで重要なのがアーキテクチャで、モデルベースデザイン、モデルなしでは進められない。
2. コンテキスト、不確実性
コンテキストに関するデータをセンサーで集めることで、ランタイムを変えることなく(ダウンタイムなしに)システムの構成を変えられる。
3. セキュリティとセーフティ
これまで別々に扱われてきた問題、それぞれで認証していたものが、統合されてきたことで両方扱わねばならなくなった。
4. 多様性、diversity
一つの同じヘテロジニアスなシステムでは成り立たなくなってきた。システムズエンジニアリングにおいては、ステークホルダーも多く、言語も様々(自然言語のこと)。標準化なくしては、interoperabilityを実現できない。
5. スマートデータの活用
スマートデータの背後にはビッグデータがあるが、IESEではビッグデータとは言わずスマートデータと言っている。目標を設定し、それに基づいて評価する。ビッグデータは将来、企業の資本になる。コンテキストに基づいたデータを考える。メリットも、プライバシーも考えねばならない。
6. ユーザー体験、UX
スマートエコシステムを使う全てのオペレーターが、訓練を受けていないことを考える。ユーザー体験を重視する必要がある。

IESEでは、システムの統合によって生まれる課題を研究している。

Q. 人材の育成について。日本では不足しているが、ドイツではどうか。育成に力を入れている政策はあるか。

A.
lack of skilled engineering
人材の意味では日本もドイツも同じ。よく似た人口動態を持つ国における状況はそれほど変わらないだろう。ドイツでは三つの取り組みをしている(考えられる)。
1. 大学における re-educate
ソフトウェア、ハードウェアをそれぞれ深堀りするのではなく、システムズエンジニアリングの科を持てるように。ジョン・ディア社(ヨーロッパで有名な農機具メーカー、鹿のロゴで知られる)やダイムラーなど、産業を想定した修士クラスがある。あまりにもシステムの複雑性が増しているので、ソフト、ハードを個別に考えても足りない。
2. エンジニアへの再教育
新しい学生への教育だけでは足りないので(彼らの育ちを待っていられない)、民間企業のエンジニアが参加するシステムのエンジニアリングのコース(2年)がある。これまでハード、ソフトを個別にみてきた人、システム全体をやってこなかった人がシステムを考えねばならないが、トレーニングがなかったことを補うもの
3. 技術を持つ外国人の移民を受け入れる
これは微妙な問題をはらむが、日本やドイツにとって中国の工学系の大学卒業生数は無視できない数字になっている。

会場からの質問

Q. 第3の波とインダストリ4.0の違いは?

A. インテリジェンスのあるなし。第3の波はマシンとマシンのコミュニケーション、データ交換。そこにインテリジェンスはない。

Q. 人材育成、大学より若い小中高レベルの取り組みは?

A.
大学からでは遅い。既に一定の考え方が出来上がっているので。ドイツでもエンジニアリングの世界には女性が少ないことが大きな問題になっている。
また、コンピューターサイエンスに対して思い描くイメージが間違っている(30年前の姿)ことが問題。若い世代を教育することで(コンピューターサイエンスやエンジニアリングについて知らせることで)、どんな仕事があるかという考えを持てるようになっていく。メカニカル、エレクトリカル、どちらかを選ぶのではなく、システムズエンジニアリングでは統合して考える必要があり、コンピューターの前にじっと座ってプログラミングをするイメージではなく、自動車やエネルギーなど他産業と渡り合って、システム全体を構築する仕事であるというように考えを変える必要がある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

Sphinx | イベント | 書籍・雑誌 | 講演・セミナー