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SEC特別セミナー「IoT時代のソフトウェアエンジニアリングとビジネスイノベーション」 対談レポート前編

先週の金曜日、青山テピアで開催されたIPA、SECの特別セミナーを聴講してきました。ドイツのフラウンホーファー研究所、IESE(イエゼ)の所長であるディーター・ロンバック博士の対談や講演です。

非常に長いレポートなので、3回に分けて書くことにしましたが、システムエンジニアリング、欧州のIndustry 4.0、スマートエコシステムなどに関心のある方には、IoT(Internet of Things)やIoS(Internet of Services)全体像をつかむのに良いかと思いましす。

【SEC特別セミナー】 IoT時代のソフトウェアエンジニアリングとビジネスイノベーション

10:30~12:00  SEC journal 公開対談
IESE所長 ディーター・ロンバック博士 / IPA理事 立石譲二氏

Q. IoTが取り上げられる背景、IoTの中で起こる本質的な改革の全体像が見えにくい。IoT時代の全体像(Big Picture)とは?

A.
IoTについては、それを見る人の経歴(Back Ground)がエンジニアリングなのか、ITなのかによって見方が異なるため、全体像の中での視点が違う。IESE(イエゼ)では様々な視点を分析していて、三つのレベルのシステム統合があると考えている。
最初は、組込みシステム(Embbedded System)と情報システム(Information System)は分かれて存在していて、問題も別だった。ESでは安全(セーフティ)、ISではセキュリティ。
次は、Systems of Embbedded System、Systems of Information System。組込みシステムのシステム、マシンとマシンとのやり取り。情報システムでも同じこと。データ交換は出来るがインテリジェンスはない。外部データを活用できない。
さらに進んで、ES側は Cyber Physical Systemになり、例えばトラックにセンサーが搭載されていて、ネットにつながることで、部品が近いうちに故障しそうなどというデータを取れるようになった。IS側は現実世界にRFIDをもってつながるようなEmergent Systemの段階。物理世界とITの世界が近づいた。

CPSと Emergent Systemが統合されて、スマートエコシステム。この移行が3番目のインテグレーションである。 エンベデッドと情報システムが同じレベルでやり取りする。
トラックの例を挙げれば、間もなく不具合を起こす部品をロジスティクス側でも把握し、ビジネスを止めることなく(ドライバーが休憩中に交換するなど)対応できる。
スマートエコシステムではデータが蓄積されるので、予測できるようになる。トラックがどういうルートで走行するかまでを見られるので、ドイツのどこに居る時に故障するかまで分かり、ではどこで部品を調達し、どこで交換すると 最も効率が良いかを判断できる。時間の無駄を出来る限り少なくできる。(loss of operation time)

第2のイノベーションではビジネスモデルは変わらず、効率が良くなった。
第3のイノベーションではビジネスモデルそのものが変わる。

インダストリ4.0では、ドイツで起こる仕事をドイツ国内で持ち続けることを意図している。国外へ流れないように。
IoTやIoS(Service)はプラットフォームを指し、出来れば標準化したい。スマートエコシステムはエンジンで、ビッグデータは燃料にあたる。経済が、製造が、仕事が大きく変わる。第2のインテグレーションはだんだんと変わっていったが、第3のイノベーションは大きく変わるレボリューションである。

Q. インダストリ4.0の出てきた背景には、舞台装置が整ってきたことがあるのでは。

A.
スマートエコシステムのようなビジョンを先に持たねばならない。そこを目指して改革が起こり、メリットがうまれる。投資をして、ビジョンへの到達を考えていく。

Q. アルビン・トフラーの「第3の波」には今起こっているような変化がいくつも書かれている。モノ同士がコンピュータの力で互いに話すような。「プロシューマー」、製造と消費者の明確な区分けがなくなり、ITが変革のドライバーになるとも。こうした状況を踏まえて、ソフトウェア・エンジニアリングと、最近着目されているシステムズ・エンジニアリングの関係、両者は補完的に発展していくものであると思うが、重要性や役割の変化についてどうか。

A.
スマートエコシステムの考えが生まれる前から、ソフトウェア・エンジニアリングやシステムズ・エンジニアリングの考えはあった。ソフトウェアがシステムの一部と考えるなら、システムズ・エンジニアリングの中にソフトウェア・エンジニアリングがあるともいえる。問題の根源はシステムズ・エンジニアリングではない。
システムアーキテクチャは、ハードもソフトも含むが、システムを構成する上で、ハードウェアの割合が大きかったこれまでは、アーキテクチャというとハードウェアのアーキテクチャを考えていることが多かった。しかし今は、ソフトウェアの割合がどんどん大きくなり、ソフトウェアこそがイネーブラーになっている。ハードウェアにソフトウェアを後付けするからこそ、問題が生じる。

システムズ・エンジニアリングと言った時、より抽象化された部分でのエンジニアリング、機能的領域を指す。ソフトウェア・エンジニアリングに長けている人たちは、モデリングや抽象化が得意だが、これがシステムズ・エンジニアリングに求められている。

ハードウェアやソフトウェア単体の要求(Requirement)ではなく、システムのRequirementについて話す。
IESEのコンピテンスをT字で表現するが、横棒はシステムへの広い理解、縦棒はソフトウェアの深い理解である。
今のシステムはあまりにも巨大(Huge)で、あまりにも複雑である。問題が大きくなって初めてシステムズエンジニアリングの重要性に気付く企業が多いが、10億行ものコードで成る膨大なシステムになってからでは遅すぎる。始まりの段階から全体を考えることが重要である。

対談の後編と、午後の講演のレポートもまた書きます。

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