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2/20、ロンバック博士の講演レポート「将来のイノベーションを実現するためのスマート・エコシステム」

IPA/SEC特別セミナーのレポートの続きです。午後最初はロンバック博士の講演でした。

2/20(金) 13:05~14:30 "Smart Ecosystems: An Enabler for Future Innovations"
将来のイノベーションを実現するためのスマート・エコシステム

スライドに書かれていたアジェンダ
AGENDA

  • Applied Research: The Fraunhofer-Gesellschaft
  • On the way to the Digital Society 2.0
  • Challenges for Software and Systems

新しい経済のトレンド、複雑なシステム、新しいビジネスモデルが生まれた。
今日は、スマートエコシステムと、IoT、IoS、ビッグデータがどうつながるのか、新たなシステムにとって何が課題となるのかについて話したい。

AGENDA 1
- Applied Research: The Fraunhofer-Gesellschaft
フラウンホーファー研究所について、その成り立ちや研究内容
フラウンホーファーは太陽光スペクトラム中の"フラウンホーファー線"を発見した科学者。顕微鏡(テレスコープ)の発明者などとして知られる。

フラウンホーファー研究所は、ヨーロッパ最大の応用研究組織で、ドイツ内に約70の機関を持ち、23,000人の従業員が居る(大半は研究者)。第二次世界大戦後の復興を産業界から手助けすることを目的として、1949年に設立された。全業界の技術を研究し、産業界に技術移転することが使命。
20億ユーロの総予算の2/3が、ヨーロッパ各国のプロジェクトや業界から請け負う研究など。世界中に支所、センター、広報機関などを有する。アジアにはまだ大きなセンターがない。

研究分野は多岐に渡る。 Health and Environment / Communication and Information / Energy and Resources / Safety and Secutiry / Production and Services / Mobility and Transportation

IESE(イエゼ)について: Fraunhofer Institute for Experimental Software Engineering
実験的ソフトウェア工学研究所
1996年に設立。ロンバック博士は設立時からずっと所長を務める。フラウンホーファー研究所の中で、フラッグシップの位置づけ。200人強の従業員が、企業とソフトウェアを活用した製品やサービスで協業している。特に自動車、航空、医療、エネルギーの分野。モノ(物理)とデジタルの統合を研究しており、IoTやスマートエコシステムもそのうち。また、セーフティ、セキュリティ、モダナイズされたエンジニアリング、ビッグデータ解析等も実施している。

IESEは、産業界のためにソフトウェアによるイノベーションを起こしている。ソフトウェアにとって、クオリティは非常に重要。
Our Formula for Your Success
ENGINEERING + QUALITY => INNOVATION

IESEのコンピテンシー
- Scalable system engineering: 非常に巨大なシステムになっている。スケーラブルであることが重要。
- Guaranteed Quality: 実験的なソフトウェアエンジニアリング。テストし、検証してからリリースする。IESEで試験するだけでリスクを抑えられる。
上記二つから、Software-Enabled Innovations が導き出される。

スケーラブルにおけるコーナーストーンはアーキテクチャで、モデルベースの開発をしている。Qualityでは Safety、Sacutiryに加えて、UX(顧客体験)を大切にする。ES(Embeddedd System)/CPS(Cyber Physical System)と、IS(Information System)/Mobileが融合し、Smart Ecosystems。

エビデンスについて
ソフトウェアの分野で新しいかもしれないが、エンジニアリングではごく普通のこと。ソフトウェアを分析し、定量調査することで、エビデンスを作っている。

AGENDA 2
- On the way to the Digital Society 2.0

ドイツでは富士通、日立とも協力している。
まず、今私たちが居るデジタルソサエティ1.0のトレンドについて。様々なエレクトロニクスデバイスを使っているが、統合されていない状況。ワークフロー全体をサポートするように出来ていない。

(例) 博士の日々のスケジュールはスマートフォンに登録されている。ある日、ドイツのどこかに行かねばならないとして、いざ車に乗るとカーナビにはスマートフォンのスケジュールは自動で登録されておらず、わざわざ自分で行き先を入力して検索、設定しなければならない。
Integration as Driver for Business Life: Integration Evables Innovation!

例えば、自動車にセンサーが搭載され、走行中、右や左に行きすぎなど教えてくれる。あるいは出発から目的地まで全て自動で走行できる。サプライヤーからメーカーまでつながっている。プレシジョンファーミング。ビジネスの世界においても、ステップバイステップで本物の統合へもっていかねばならない。こうした統合が国境を越えて出来るように。

インターネットには三つのタイプがある。
- Internet of People
- Internet of Things
- Internet of Services(人もつながる。エレメントもデータも増えていく)
こうした世界がどの程度広がっているのか。効率を上げただけで留まっていてはいけない。将来の新しいビジネスモデルがなければ成り立たない。

IT Mega-Trend: Integration

今はDigital Society 1.0の時台で、Integrated Systems実験中。Digital Society 2.0、Smart Ecosystemsへの移行は革命的。米国のエコノミストであるリフキンの著作によれば、今やっているのは表面的なことにすぎず、日本のように高賃金の国はついていけなくなる、という見方が示されている。

A Trend across Domains
あらゆるものがスマートになる可能性がある。Farming, Health, Mobility, Energy, Industry 4.0, さらには Smart X。今は独占技術で成立しているものが、複雑な分散化によってあらゆるシステムからログインできる(つながる)ように。

Example: Smart Cars
現在は Closed Eco System、将来は Open Eco System。例えば自動車保険では率の最も良いところが生き残る。車から、ユーザーから情報を取ってこられる。いつ、どこで、どんな運転をするかで、利用できる保険も変わる。

Example: Smart Farming(ジョン・ディア社でやっている)
予防的故障回避。1年のうちに3ケ月だけ使う農機具があり、3ケ月の間に3日、故障で使えなければ非常に効率が悪い。こうしたことを事前に回避する。他に、農機具の動線をコントロールすることで燃料を効率良く使う。いつ肥料をやったかなどのデータをリアルタイムに蓄積していく。

The Forth Industrial Revolution
2011年に発表されたIndustry 4.0.
現代における四つの課題への対策を講じるために、ドイツが国を挙げて取り組んでいる。
Global competition / Resources shortages / Demographic changes / Urbanization

Industry 4.0では、全てのタイプの情報がつながる。お客様もサプライヤも。ソフトウェアがイノベーションと生産性向上の鍵となる。歴史上の産業革命には四つの段階があり、1.0は蒸気機関による機械化。2.0は電気による大量生産への移行。3.0はITによる自動化レベル。4.0はスマートエコシステム。Industry 4.0はリアルタイムで意思決定でき、リソースを最低限で済ませる。人も、機械も、モノも、ITシステムもネットワークでつながる。

デジタル化・自動化の飛躍的な伸びについて(Price Waterhouse Coopersの調査)
- Vertical Integrationは、コントロールのレベルを通貫する。
垂直統合で 2014年の20%から 2019年には80%にまで達する。
(財務・法~サービス~生産・物流~企画~R&D~販売)
Horizontal Integrationは、業種を超える。
水平統合で 2014年の24%から 2019年には86%まで。
(サプライヤ、エンタープライズ、カスタマー)

2025年の産業界のビジョン
一つのサプライヤとOEMではなく、よりダイナミックな関係が出来るだろう。バーチャルな組織を作り、オリンピックイヤーにビジネスをするなど。中小零細の部品企業でもスマートエコシステムの一部になれる。カスタマイゼーションでコストを下げ、インテリジェントアシスタンスで様々な仕事が簡単になる。さらに、無駄の少ない運用が出来る。

企業が Industry 4.0で期待できること

  • より良いプランニングやコントロール(生産や物流)
  • 高い顧客満足
  • 製品そのものの柔軟性が高まる
  • 市場へ供給するまでにかかる時間の凝縮
ドイツのスタンダードな産業(化学、自動車、機械、電気設備、農業など)で、2013年~2025年に+15~30%の成長率が予測されている。年 1~2%の成長は、デジタル化そのものによってだけもたらされる。

Industry 4.0における課題(Key Challenges)
集めたデータをコンテナに入れるだけでは何もならない。どのような状況で何に使うかが大事。10年前と同じことをやっていては、新しい会社の形に対応できない。
Standardisation(標準化)/Process/work organization/Product availability/New business models: 今までよりいいやり方ではなく、全く新しいビジネスモデルになる。/Security know-how protection: 他からのデータは欲しい、自分のデータは見せたくない。/Lack of specialist staff: 日独で人材の不足は同じ問題。など。

AGENDA 3
- Challenges for Software and Systems Engineering

2014年から2019年の5年間で、デジタル化の度合いは、50%も高まる。

Key Challenges for Software and Systems Engineering
スマートエコシステムの中での主要なリーダーはソフトウェアであり、ここでリーダーになりたければ、ソフトウェアがイネーブラーであることを認識すべき。将来の製品はさらにソフトウェアの割合が高まり、ソフト、ハードを問わず規定されていない関係が出てくる。

  • Complexity: 複雑性
    スマートエコシステムはこれまでにない複雑さを持つ。
  • Diversity: 多様性
    企業や業界を超えた多様なシステムやステークホルダーを統合どこかで停電してもサービスが動き続けねばならない。
  • Uncertainity: 不確実性
    不確実な環境、新しいコンセプトの中で、システムのre-configurationが出来ねばならない。ランタイム中にre-configurationが行われる。
  • Safety & Security: 安全性とセキュリティ
    まだ大きな課題を抱えている。定量化が簡単なものとそうでないものが混在している。
    Isolation of critical systems parts (例: "software cages")
    何か間違った挙動があった時に、他に影響しないように孤立させておく。まだ生産の現場では使われていない。もとはロボティクスからうまれた考えで、ロボットが人間を殺さないように、常にケージに収めておくこと。
  • Smart Usage of Big Data
    今はビッグデータで問題を解決できると期待している状態。ガートナーカーブでは昇り切る手間。いずれ失望の時がくる。コンテキストに基づいてデータがどう使われるべきか、使われないべきかを考える必要がある。

終わりに。
誰がスマートエコシステムの開発スピードを決めるのか。米国にはこれを根本から理解し、既にチャレンジを始めているGoogleのような企業がいくつもある。(Googleの自動運転の自動車はおもちゃではない、スマートエコシステムの 具現化への一歩というようなことを言っていました)
しかし、我々(ドイツや日本)はリーダーであらねば将来はない。ドイツには古くからエンジニアリング企業があるが、これでは成功できないことが分かってきた。そこでコンソーシアムを作り、Industy 4.0を進めている。Industry 4.0に向かわなければ雇用を創出できない。

ソフトウェアの役割がどんどん上がり、将来トップレベルになるだろう。我々は様々な技術を開発できるが、人的資源がなければ使えない。チャンスはたくさんあるが、能力がなければ大きなチャンスはものに出来ない。

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